その声で星が揺れる

クソデカ感情ポエムの矛先

刹那の逃避行に、愛をこめて

斉藤壮馬さん、アーティストデビュー3周年おめでとうございます!

3年前の今日、突如開設されたTwitterのアカウント。
そこに書かれていたのはアーティストデビュー、1stシングル発売決定の文字。

声優界隈にのめり込むと同時に、壮馬さんを知って好きになってからまだ半年とちょっとくらいしか経っていなかった当時のわたしは、「声優さんがアーティストデビューするの!?いったいどんな感じになるんだろう?」と思いつつも、壮馬さんが創り出す世界をこれからたくさん見られるんだ、とワクワクで胸がいっぱいになったのをよく覚えています。
そして、その気持ちは今も胸にあります。
きっと、明日も明後日も、ずっとその先も。
これからも、壮馬さんが紡ぎだす音を、言葉を、世界を、感じとって咀嚼して、たくさん味わっていきたいです。


さて。
突然なのですが、アーティスト斉藤壮馬さんのことが好きなみなさんに、質問があります。

あなたが一番好きな「アーティスト斉藤壮馬さんの楽曲」は、なんですか~!?
はい、せーの! ……



今この質問にスッと答えられた方は、果たしてどのくらいいらっしゃるのだろうか……。
聞いておいてなんですが、わたしも未だに答えを出せずにいます。

それではもうひとつ、質問をさせてください。
今度は急かすつもりはないので、じっくり考えていただきたいです。

あなたにとって、聴くと「ああ、やっぱりこの人の生み出す音楽が好きだな」と、何度でも実感できる曲は、なんですか?



わたしにとってのそれは、『デート』です。

これはもう、即答できます。
わたしは『デート』という曲が、とても好きです。

もちろんどの曲も大好きなんだけれど、わたしにとって『デート』はなんだか特別な存在。
今日は、そんな『デート』の好きなところをつらつらと書いていきたいと思います。

ここから先は、本当に主観しか含まれない文になると思うので、こんなふうに感じる人もいるんだな、くらいの気持ちで、ゆる〜く肩の力を抜いて読んでいただけると幸いです。
これからわたしと一緒に、海まで歩いていきませんか?

『デート』、再生。


『デート』の歌詞について


わたしがもっとも歌詞に「そまみ」を感じる楽曲は、『デート』である。
そして、今となってはすっかり界隈に浸透した「そまみ(=壮馬味。斉藤壮馬っぽいということ)」という言葉が本人の口から出てきたことでオタクに広く普及し始めたのが、まさに3rdシングル『デート』のリリース時期だったように記憶している。


具体的にどの部分に「そまみ」を感じるかというと、たとえば

正直タクシー代はちゃんと持ってるけど *1

「ぼく」は、どれだけ飲んで飲まれて飲んだくれても、タクシー代をちゃんと持っていて、その気になればいつでもタクシーを呼んで家に帰れる、っていう。
個人的にはめちゃくちゃ「そまみ」を感じます、この部分。

続きまして。

このときを閉じ込めて 永遠に仕立てあげたい *2

はい出ましたこちら。
アーティスト斉藤壮馬さんの楽曲の中で、わたしが一番好きと言っても過言ではないフレーズです。
したい、でも変えたい、でもなく、永遠に「仕立てあげたい」のがポイント。
「ぼく」は、永遠などというものがこの世には存在しないのだということも、だからこそ「きみ」と過ごしているこのときが決して永遠にはなり得ないということも、よくわかっている。
それでもいい。虚構でもかまわない。
「きみ」とのデートが、この瞬間が永遠であると「錯覚していたい」のだという、矛盾していながらも切実な「ぼく」の願いに、ポップなサウンドとは裏腹な切なさが込みあげてくる。


そしてこれは個人的にめちゃくちゃ気になってることなので、みなさんのご意見もぜひお聞きしたいんですけれども、

GPS切って 走って 笑って 黙って すきって *3

GPS切って」この歌詞、みなさんはどういう風に解釈していますか?
もちろん正解も不正解もないと思うので、いろんな解釈があると思います。

わたしは、大きく3パターンの解釈をしてみました。


まずは初めて歌詞を見たときに考えた1つめ「誰かに監視されている『きみ』」パターン。もうこの時点で雲行きが怪しいんですが。

~ここから妄想~

GPSで誰かに常に監視されていて、そのことに対し息苦しさを感じている「きみ」。
そんな中、終電間際の高田馬場で「ぼく」と出会う。そしてせめて今だけは……とスマートフォンの電源を落とし、「きみ」は刹那の逃避行に出ることを決めたのだった――。

~ここまで妄想~


というもの。字に起こすと改めてかなりブッ飛んだ解釈だなと自分でも思うんですけど、

冥土の道みたいね *4

これまでに出てきた「~しようよ」「~だね」などとはまた違う雰囲気の口調であることと、なんの前ぶれもなく耳に飛び込んでくるこの歌詞の思いがけなさから、わたしはこれを「きみ」の言葉であると解釈してみた。

冥土の道、つまり直訳すると死後の世界に続く道みたいね、と言っているのだろうか。
これもさまざまな解釈があると思うんですけど、わたしが思いついたのは2パターンでした。

①もうすっかり夜中だし、わたしたち以外誰も歩いてないね。このまま歩いてったら知らないうちに死んじゃってて、冥土に着いちゃったりして?
②ああ、GPSを切って数時間も行方をくらませて、こんなことしてたら帰ったときなにをされるか分かったものじゃない。「ぼく」とのデートもこの関係も冥土が終点、きっと片道切符なのね……(これは書いててさすがに無理があるかもと思ってきてしまいました)。

というか、一緒に歩いてて急にこれ言われたらめっちゃ怖くないですか?夜に。わたしだったら泣いてる。
そりゃあこの子、「ぼく」に「アセンションしたから大丈夫」って言われてもあんまり怖がらなかったわけだわ。と、妙に納得したわたしなのでした。

震えてるきみの肩 すぐにでも支えたいのに *5

「肩を震わせる」という言葉は、強い感情を押し殺す、というようなニュアンスで解釈できると思うので、「きみ」はこのデートが終わることでまたあの日常に戻ることを恐れて泣いているのだろうか。
でも「ぼく」はその事情を知らないし、触れはしない、と思っていることから、ただただうろたえることしかできない。
「きみ」は、いったいなにを考えているのだろう。
見つめあってみてもお互いの心は交わらないまま。

そうやっぱ これってデートだよ 未来はね
たくさんあんだ 選んだ 先がどんなものでも *6

「ぼく」からのレイトショーの誘いを断ることを選んだ「きみ」。
ここで”永遠”の魔法は解けてしまう。
その先がどんな人生になったとしても、それが「きみ」にとっての未来だということなのだろうか。
しかし、「ぼく」と「きみ」がこれからそれぞれに歩んでいく未来がどんなものであろうとも、「デート」=「今この瞬間の楽しいという気持ち」は変わらないよ、というような意思が感じられることはふたりにとっての救い、希望かもしれない。

いろいろと怖すぎるので、わたしはこれ以上考えることをやめたのだった。


気をとり直して2つめ「散歩を楽しもう」パターン。よかったこれは平和そう。

ここでは、GPSスマホの地図アプリだと解釈してみた。
こんな時くらいはマップを見たりせずに、行き当たりばったりで夜の散歩を楽しもう、というニュアンスだ。


最後に3つめ「このデートはふたりだけのひみつ♡」パターン。

GPSを切る=ふたりがどこにいるのか、誰も知ることができない。
ふたりで行方をくらまして、みんなには内緒でこのデートを楽しもう、ということだ。

つまり、その先にある「黙って」はここでは「誰にも内緒で」というニュアンスにもとれる。
……なかなかにキュートでロマンチックな解釈だと思いませんかこれ!?

これはぜひみなさんの解釈も聞いてみたい。貴重なご意見、お待ちしております。


それから、最後にこの歌詞。

それならきっと ちゅっと えっと あっそうですかここでばいばい

家で飲みなおそっかな
またね *7

これならきっと進展がある……!とほんのり期待して「きみ」をレイトショーに誘うも、断られてしまう「ぼく」。
途端に「あっそうですかここでばいばい」って、ちょっと待ってドライすぎない?
この歌詞に全くスペースが入っていないところから、断られてから諦めるまでがほんの一瞬のことであったかのようにも思える。思考のノンブレス感。
歌詞表記のこういう細かいこだわりが、なんともたまりませんね。

今まで「ああ、なんか酔っちゃいそう♡」だの「これってデートみたいだね」だの「そろそろ手とか繋いじゃいたい」だのと、「きみ」に好意があって、あわよくばこの関係を発展させたいというような素振りを散々見せていたにも関わらず、「ぼく」は突然やってきたデートの、この関係の終わりに何ら未練を感じていないようすだ。
それどころか呑気に「家で飲みなおそっかな」とまでのたまっているではないか。

それまでの4分28秒間の甘酸っぱい気持ちはいったい何だったの……と思ったが、これもまた「そまみ」を感じる要素ではないだろうか。

「絶対に君とデートがしたい!」というよりは、
「この一晩、たまたま僕らの人生が交わって、たぶん今後も交わることはないけれど、今が楽しいからいいよね」っていう曲です。 *8

『デート』の曲調について


恥ずかしながら、わたしには音楽に関する専門的な知識がほとんどないので、ここからはわたしの耳で聞いて感じたことを書いていきます。広い心をもって読んでいただければと思います。

まずは、1stアルバム『quantum stranger』がリリースされた時期にTwitter上でおこなわれた同時鑑賞会、その名も「tweet stranger」にて、壮馬さんが『デート』について言及したものがこちら。

Sakuさんいわく、どうやら『デート』はすごい(コード進行が)いっちゃってるらしい。

わたしはコード進行についても全くと言っていいほど知識がないのだが、言われてみればなるほど、確かに聴こえてくる和音にはどことなく浮遊感があって、進行が予測不可能だというのは感じ取ることができる。

ほかにも、そういった知識がないわたしでも、『デート(Instrumental)』を聴いているといろんな情景やイメージが浮かんできたので、わたしが感じたものをぽつぽつと、ここに記しておくことにする。


まずはいちばん初めの、ダンッ!というドラムの音。
これを聴いただけで、わたしの心は否応なしに弾む。
イントロドンで流れてきたら光速で反応できると思う。ピンポン!斉藤壮馬さんの『デート』!正解~!

1番2番ともにBメロで鳴っているカリンバのようなぽろろん、ぽろろん、という音を聴くと、やわらかくてまるいネオンの光がきらきらとゆれる夜の街並みが目の前に広がっていく。

さらに、一曲を通してベースの音に耳を傾けてみると、

急に静かになって そろそろ手とかつないじゃいたい、なんてね *9

この部分にのみ、ベースがスラップ奏法を用いていることがわかる。
跳躍するスラップベースの音が、「きみ」とすこしでも距離を縮めたくて踏み出そうとする「ぼく」の高鳴る鼓動のようにも聴こえてくるのではないだろうか。

そして2番のサビが終わり、Cメロにさしかかると同時に聴こえてくるギターの音。
繰り返される3音のフレーズは、寄せては返す波のようにも聴こえる。
夜の浜辺の空気を揺らすのは、穏やかな波音とふたりの気配だけ。

もちろんインストゥルメンタルだけでなく、ボーカルにも細やかなこだわりを見つけることができる。

合いの手「カンパイ!」で壮馬さんの声に重ねられている女声(なにを隠そうこれも壮馬さんのお声なのだが、非常にかわいい。ぜひ右耳だけイヤホンをつけた状態で聴いてみてください)や、サビで聴こえてくるオクターブ上のコーラスが曲中での「きみ」の存在感をより際立てている。

また、歌詞の意味と音階のシンクロも非常に印象的だ。

視線 絡まっても 心は平行線で *10

「へいこうせん」の部分で、言葉通りに一定の音階が続く。
言葉の意味と音階がシンクロすることで歌詞がより入ってきやすく、交わることのないふたりの想いにわれわれ聴き手の心はきゅうと切なくなってしまう。

とはいえ最後にはすんなりと別れて違う道を歩いていってしまうのだけれど、Cメロで「きみ」が震わせた肩も、それを受けて葛藤する「ぼく」から垣間見えた切実な想いも、ぜんぶ本当だったのだろうなと思う。

真面目に不真面目、断念と執着、生々しさと儚さ。
そんなアンビバレンスとすこしの純粋が詰まったその世界でうまれた、ふたりのたったひとつの交点に、わたしはいつまでも思いを馳せていたい。


さいごに


だいたい2日くらいで書きあげたんですけれども、その間はずっと『デート』と『デート(Instrumental)』ばかり無限ループしておりました。とても楽しかったです。
ご飯を食べていてもお風呂に浸かっていても、寝ても覚めてもデートのことばかり考えていました。
残念ながら壮子さんは、夢に出てきてくれなかったけれど。
記事を書く前からこの曲が大好きだったけれど、これを機にもっと好きになりました!


改めまして、アーティストデビュー3周年、おめでとうございます!
これからも『デート』という曲が、斉藤壮馬さんの生み出す作品が、どうかたくさんの人びとに届いて、愛されますように。


最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
ここでばいばい。

*1:斉藤壮馬の楽曲『デート』より

*2:斉藤壮馬の楽曲『デート』より

*3:斉藤壮馬の楽曲『デート』より

*4:斉藤壮馬の楽曲『デート』より

*5:斉藤壮馬の楽曲『デート』より

*6:斉藤壮馬の楽曲『デート』より

*7:斉藤壮馬の楽曲『デート』より

*8:TVガイド VOICE STARS vol.06 より

*9:斉藤壮馬の楽曲『デート』より

*10:斉藤壮馬の楽曲『デート』より